研究概要 |
本研究では,アスパラギン酸を骨格とするアクリレートN-acrvloyl aspartic acid(N-AAsD)含のセルフエッチングプライマーアドヒーシブとしての応用性について検討した。 N-AAspはアクリル酸クロリドとDL-アスパラギン酸から合成し,^1H-NMRおよび^<13>C-NMR分析して生成物が解AAspであることを確認して使用した。まず,解AAsp水溶液が象牙質接着にセルフエッチングプライマーとして効果があることを確認した。次いで,アドヒーシブの効果を発揮させるためには重合性モノマーの添加が必須のため,有機溶媒でのN-AAspの接着効果を調べ,溶媒はアセトンと水の等重量混合溶液が最適であることがわかった。 さらに,添加する重合性モノマーとしてはTEGDMA、重合開始剤・触媒としてカンファーキノン(CQ)およびN, N-ジメチル p-トルイジンを選択して,様々な濃度で牛歯への引張り接着強さを検討することで,セルフエッチングプライマーアドヒーシブとして応用できるかどうかを調べた。その結果,N-AAspを10wt%に固定し,TEGDMA5wt%,H_2O 41.5wt%,アセトン41.5wt%,CQ1wt%、N, N-ジメチル p-トルイジン1wt%で最大の接着強さが得られることがわかった。以上より,N-LAAspを含有させたセルフエッチングプライマーアドヒーシブの組成および配合量を決定でき,この溶液はセルフエッチングプライマーアドヒーシブとして応用できることが示された。しかし,この溶液のみではその後に充填するレジンの濡れ性が悪くボンディングレジンの併用が必要であったことから,さらにこの研究を推進してレジンとなじみを向上させるモノマーの添加などで,臨床応用で良好な接着効果を発揮できるワンステップのセルフエッチングプライマーアドヒーシブの開発が可能と考える。
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