研究課題/領域番号 |
16591921
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
中村 幸生 明海大学, 歯学部, 教授 (40207931)
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研究分担者 |
渡辺 治爾 昭和大学, 歯学部, 講師 (90191783)
増田 宜子 昭和大学, 歯学部, 講師 (10297038)
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キーワード | ameloblastin / 歯髄 / 象牙質 / 創傷治癒 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
本研究において、enamel matrix derivative(以下、EMD)を露出歯髄に投与した場合、大量の修復象牙質の形成が短期間に生じることを明らかにした。これらの研究の中で、enamel proteinsの1つであるameloblastin(sheathlin、amelin)が、修復象牙質形成と損傷を受けた歯髄の創傷治癒に大きく関与していることが示唆された。そこで、recombinant ameloblastin(以下、rAmbn)を断髄面に投与する実験を施行したところ、EMDの症例より大量の新生修復象牙質の形成が短期間で認められた。また、観察された象牙質形成量は、コントロールとして用いた水酸化カルシウム(以下、Ca(OH)_2)で治療された症例と比べ有意に多かった(形成された新生硬組織の量は、EMD>rAmbn>Ca(OH)_2であった)。さらに免疫組織化学的検索を施行したところ、新たに形成された硬組織は、EMDやCa(OH)_2)により形成された象牙質と病理組織学的に同様の所見を呈していた。これらの結果から、rAmbnがbiological active pulp-dressing agentとしての強い潜在能力を有していることが明らかになった。以上のように、平成16年から行われてきた本研究の目的は、当初予定された内容に関しては達成されたと考えている。しかし、新たに明確にしなければならない問題点が生じた。それは、rAmbnを投与した2症例ではEMDを上回る(データ未発表)大量の修復象牙質形成が認められたが、同時に残存歯髄に強い退行性の変化が観察されたことである。これは、歯髄のlife spanを縮めかねない問題である。したがって、臨床応用を目指すために原因を詳細に検索しなければならないと考えている。
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