研究課題/領域番号 |
16591926
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
角田 晃 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (70236933)
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研究分担者 |
斎藤 正寛 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40215562)
寺中 敏夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (60104460)
須田 直人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90302885)
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キーワード | エナメル上皮細胞 / 細胞外マトリックス / マラッセ上皮遺残 / 歯胚 / 発生 / 基底膜 / エナメルタンパク質 / 歯根膜 |
研究概要 |
今年度はマラッセ残存上皮細胞の培養系を確立するために、エナメル上皮細胞の分離培養を試みた。出生後1日齢のマウス切歯歯胚の歯根アナログ側の歯根に付着している組織を採取し、上皮細胞専用無血清培地を用いてマラッセ上皮細胞(Mouse Mallase's Epithelial Rest : MMER)の選択培養を試みた。その結果、培養皿上で上皮細胞の形態を示す細胞集団がoutgrowthすることが観察された。しかし、これらの細胞は3回以上継代すると増殖を停止してしまうため、安定した細胞株を作製するため細胞不死化を試みた。MMERの不死化にはヒトパピローマウイルス16型E6遺伝子を導入し、p53遺伝子の不活性化による寿命延長を試みた。遺伝子導入した結果、MMERの寿命は延長し100日以上継代可能な不死化細胞であることが確認された。そこでMMERの特性を調べるため、エナメル蛋白質の発現をRT-PCRで解析した。その結果、エナメル蛋白質であるenamelinを高発現していることが観察された。しかし、同じくエナメル蛋白質であるamelogeninおよびameloblastinの発現は認められないことから、MMERは未分化な表現型を示すことが考えられた。次にMMERの分化誘導を目的に、基底膜成分の影響を調べたところ、MMERはlaminin10とfibronectinに対して高い接着活性を有することが確認された。そこでMMERをlaminin10あるいはfibronectin上で長期培養を行いエナメル蛋白質の遺伝子発現をRT-PCRで確認したところ、amelogenin, ameloblastinおよびenamelinの遺伝子発現はlaminin10およびfibronectinにより影響を受けないことが判明した。以上の結果より、細胞不死化技術でMMERの分離培養は可能になるが、マラッセ上皮遺残細胞としての表現型を出すには、適切な分化誘導条件が必要になることが考えられた。このような培養条件は次年度に探索していく予定である。
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