研究概要 |
本研究は,現在臨床で使用可能な唾液検査法を比較評価し,その上で改善を加え,口腔内の細菌叢をより正確に表示できる新たなシステムを開発するものである.2004年度は,現在市販されている唾液検査キットであるDentocult SM, Dentocult LB (Orion), CRT bacteria (Vivadent), CARIO CHECK (Sunstar)およびSaliva Check (GC)の感度および操作性を比較した.さらに2005年度は,被験キットとして,モノクローナル抗体を利用したキットであるSaliva Check (GC)とポリクローナル抗体を利用したOral Tester (TOKUYAMA)および培養法を用いた従来型のDentocult SM (Orion)の3製品を用いた.これら,3製品について,評価結果の感度および操作性を比較した,臨床予備実習に参加した学生のうち本研究の主旨を説明し同意の得られた学生を被験者として,唾液を採取した.メーカー指示に従って唾液を播種し,培養後,各キットの結果を比較した.また,コントロールとしてmutans streptococciおよびlactobacilliの選択培地を作製し,唾液試料を10倍段階希釈法にて希釈し,播種した.培養後,各唾液検査キットの結果との相関関係を比較した.その結果,う蝕原性細菌数の傾向を把握するためのスクリーニングレベルでの正確さは,全てのキット間で有意な差が認められないことがわかった.本実験の結果の一部は,2005年3月に開催された83回International Association for Dental Research in Baltimoreにて発表した.2005年度の結果は,6月に開催されるIADR 84回general Session and Exhibition in Brisbaneにて,発表予定である.
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