研究概要 |
本研究では,ヒト骨髄由来間葉系幹細胞に対する結合組織成長因子(CTGF)の作用について検討するために以下の実験を行った。 1.ヒト骨髄液からの間葉系幹細胞の採取ならびに細胞培養 ヒト腸骨骨髄から骨髄液を採取し,継代培養を行い,得られた細胞集団のcharacterizationを行った。9代まで継代した細胞を用いてSTRO-1の免疫染色を行ったところ,STRO-1陽性細胞が認められ,本研究に使用した細胞集団の中には幹細胞が存在しているこが確認された。また,これらの細胞を5mM troglitazoneで刺激して3週間培養すると脂肪細胞に分化し,骨芽細胞誘導培地(100nM Dexamethasone,50μM Ascorbate-2-phosphate,10mM β-glycerophosphate)で2週間培養すると骨芽細胞に分化したことより,多分化能を有していることも明かとなった。 2.幹細胞に対するCTGFの作用 1)幹細胞の遊走・伸展能はCTGF刺激により促進される傾向が見られた。 2)未分化間葉系細胞から骨芽細胞への分化を,アルカリホスファターゼ活性を指標に調べると,CTGF刺激によりアルカリホスファターゼ活性はわずかに抑制された。一方,骨芽細胞に分化した細胞に対してはアルカリホスファターゼ活性を上昇させた。 3)ハイドロキシアパタイトのディスクをCTGFでコーティングすることにより,その表面に接着する細胞数はCTGF濃度依存的に増加した。
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