研究概要 |
本研究は,インプラント周囲骨の骨増生法を開発することを目的に行ったものである.まずレポーター遺伝子であるβ-galactosidase,骨形成促進因子であるCTGF遺伝子とその転写制御を行うプロモーター(CAGプロモーター),転写されたmRNAの安定性に必要なポリA部位から構成される外来遺伝子発現ユニットを有するプラスミドDNAをアデノウイルスゲノムDNAとヒト胎児腎細胞由来293細胞へco transfectし,相同組み換えによりアデノウイルスベクターを作製し,遺伝子導入の効果を,X-gal染色,b-gal活性測定,RT-PCRにより導入効率,発現期間を検討した. ・LacZ発現アデノウイルスベクターを用いての培養骨芽細胞に対する遺伝子導入 マウス骨芽細胞株MC3T3-E1 cellに各濃度のLacZ発現アデノウイルスベクターを感染させ,LacZ遺伝子を導入し,その遺伝子発現をRT-PCRにて検討した.また,β-galactosidase活性値の測定やX-gal染色も同時に行った.その結果,LacZ発現アデノウイルスベクターの至適濃度はMOI50であることが明らかとなった. ・CTGF発現アデノウイルスベクターを用いての培養骨芽細胞に対する遺伝子導入 上記の実験により確認されたMOI50の条件で,CTGF遺伝子発現アデノウイルスベクターを用いて1と同じ方法でマウス骨芽細胞株MC3T3-E1 cellに遺伝子導入実験を行った.ウェスタンブロッティングの結果からCTGFタンパクの産生が確認され,培養骨芽細胞に目的とする成長因子(CTGF)の遺伝子導入とそれに続くタンパク産生が可能であることが明らかとなった.今後はゼラチンスポンジなどとアデノウイルスベクターを複合化させ,in vivoの実験を行っていく予定である.
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