研究概要 |
早期にオッセオインテグレーションを成立させると同時に,オッセオインテグレーションの長期維持に向けた,組織再生誘導能の高い表面性状を有した新しいチタンインプラントを開発するには,チタンインプラント表面への骨芽細胞や線維芽細胞の接着様相を分子レベルで解析する必要がある.そこで,本研究の目的は,リン酸化した細胞接着分子を選択的にチタン表面に結合させることで,骨芽細胞や線維芽細胞の配列を制御するチタンインプラントの表面改質法を開発することである. 平成16年度では,チタン表面への結合親和性の高いリン酸基に着目し,アミノ酸であるL-serineおよびL-threonineをリン酸化したリン酸化アミノ酸O-phospho-L-serineおよびO-phospho-L-threonineがチタン表面に安定的に化学結合することを確認し,また,骨芽細胞の初期接着性を向上させることが明らかとなった。次に,細胞接着分子であるRGDペプチドをリン酸化したRGDS(PO_3H_2)PAあるいはRGDXX・・XS(PO_3H_2)PA(X=MiniPEG)の精製を行った.現在,リン酸化アミノ酸と比較して分子量の大きいこれらのリン酸化ペプチドのチタン表面への化学結合状態についてX線光電子分光法(ESCA)を用いて評価し,安定した表面改質が可能であるかを検討している.
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