研究概要 |
総義歯を装着する無歯顎者において,義歯の構成要素としての人工歯列が,摂食・嚥下機能動態にどのように関わり,嚥下機能にどのような役割を果たすかを調べるために,実験計測システムを構築し,計測データを収集しつつある。 つまり,無歯顎者の指示嚥下ならびに自由咀嚼嚥下時において,義歯人工歯列の有無と義歯の咬合高径によって違いが生じる下顎の固定や口腔容積が,嚥下動態にどのような影響を及ぼすかを,咬合力,舌圧,筋電図,下顎運動,喉頭挙上を計測して比較検討するシステムの構築と改良を行ってきた。まず,咬合高径と人工歯の有無を変更できる咬合力と舌圧の計測には,実験義歯に圧力センサーを設置したが,その設置部位・方法を検討し,咬合力計測1カ所,舌圧計測4カ所を決定した。さらに,喉頭挙上運動を計測する方法を試験して決定し,咬筋と舌骨上筋群の筋活動,下顎運動をこれらの計測項目合わせて,合計9チャンネルの同期した計測システムを構成した。また,被験食品を検討し,水,プリン,コンビーフの形態の異なる食晶を決定し,指示嚥下と自由咀嚼嚥下での計測を行っている。 現在,3名の実験協力被験者のデータを採取しており,来年度にはあと7名ほどの実験協力患者を募り,データを収集していく予定である。なお,実験協力被験者には,鹿児島大学医学部・歯学部附属病院臨床研究倫理委員会で認められた実験の目的と内容の説明文書を提示して説明し,被験者からの同意書を得て実験を行っている。
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