研究課題/領域番号 |
16591965
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
平井 敏博 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80014273)
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研究分担者 |
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (90186669)
横山 雄一 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50295903)
木花 八友 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (20337033)
松実 珠千 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (60382496)
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キーワード | 嚥下機能評価 / チェアサイド / 超音波診断装置 / 舌運動 / 嚥下音 / Videofluorography |
研究概要 |
I 目的 超音波診断装置と心音マイクを用いる新たな嚥下機能評価法(US法)と、今日まで医科領域において用いられているVideofluorographyによる評価法(VF法)との整合性についての検討を加え、同時に、US法の妥当性および信頼性を確認することを目的とする。 II 方法 顎口腔系機能に自覚的・他覚的な異常が認められない5名を被験者として、超音波診断装置、心音マイク、Digital Video RecorderからなるUS法に、VF装置(東芝社製KXO-50N)を追加して、試験食品Hの嚥下時における側方からのVF画像を同時に撮影・記録した。なお、試験食品Hには、粘度を変化させない量の造影剤(GastrographinRSCHERING社製)を添加し、調整した。また、超音波画像とVF画像とを同期させるために両画像に同一信号を入力し、これを基準として、1/30秒毎の連続した静止画像を分析に用いた。 さらに、高年無歯顎患者を被験者として、全部床義歯の装着・未装着時の嚥下試験を行い、US法による記録、・分析を行い、チェアサイドにおける実用性、有用性についての検討を行った。 III 結果および考察 両画像の同時記録から、US法におけるT_4は口腔期末期の食塊送り出しの完了時点であり、S_1は咽頭期初期である喉頭蓋閉鎖時点、すなわち食塊が咽頭に到達した時点であることが確認された。 嚥下の補助を目的とした各種口腔内装置の装着による嚥下動態の変化を、US法によって、確認することができた。また、嚥下時の体位の変化による嚥下動態の変化を確認することができた。さらに、US法を用いるチェアサイドで実施可能な嚥下機能の客観的評価法を確立するために有用なパラメータを検索した結果、粘度を規定した試験食品の使用と、US法におけるS_1、T_3、T_4の利用が有用であることが示された。特に、口腔期末期の食塊送り出しの完了時点であるT_4と、咽頭期初期である喉頭蓋閉鎖時点であるS_1を超音波画像診断で確認できることが判明したこと、および機能検査の試験食品を規定できた意味は大きいと考える。さらに、高年無歯顎患者における全部床義歯装着、未装着による嚥下機能の変化を観察・分析することができた。 以上のことから、US法による嚥下機能評価は、チェアサイドで実施可能であり、有用な評価結果をもたらすことが確認できた。
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