研究概要 |
平成16年度はlacZ遺伝子を含むアデノウイルスベクター(Ad-lacZ)を用い、このLEKTI full length cDNAをベクターに組み込み、Ad-lacZ-LEKTIを作成し、in vitroにおける遺伝子導入効率および細胞毒性の検討を行った。平成17年度は16年度の研究成果をもとに下記の結果を得た。 1.in vitroにおける殺細胞効果の検討 細胞株におけるアデノウイルスの細胞毒性はMOI=100以上、またGCVにおいては25μg/ml以上で細胞毒性を示したため、至適濃度をMOI=1,10とした。腫瘍はヒト口腔扁平上皮癌由来のSAS,HSC-2,3,4を用いた。これらの腫瘍細胞を培地1ml中に5×10^4個の割合で24穴プレートに播種し、24時間後,培養後MOI=1,10にてAd-lacZ-LEKTIを感染させた。感染24時間後10μg/mlのGCVを添加し、72時間培養後生細胞数を計測し、細胞生存率を算定し、未処置群と比較検討した。その結果MOI=1での殺細胞効果は60%程度、MOI=10ではほぼ100%であった。 2.in vitroにおける形態学的変化 4種の細胞株をそれぞれ培地1ml中に2×10^4個の割合でガラスボトムディッシュに播種し、24時間培養後Ad-lacZ-LEKTIをMOI=10で感染させた。感染24時間後10μg/mlのGCVを添加し、経時的にビデオ強化型微分干渉顕微鏡にて形態観察をおこなった。その結果GCV投与後24時間以内に導入した細胞は核濃縮、細胞縮小、細胞膜の小胞形成などアポトーシスを示す形態学的変化が観察された。
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