研究概要 |
本研究では効率的な組織再生誘導を目的として、サイトカイン/Scaffold固定化法を臨床応用するための研究をおこなった。サイトカインとしてrh-BMP-2を使用しScaffoldとしてはI型アテロコラーゲンを用いた。サイトカイン/Scaffold固定化にはWater-solble cafbodiimide法によりI型コラーゲンとBMP界面に存在するカルボキシル基とアミノ基を共有結合で化学的に固定した。 培養細胞による実験系で、GFPラットから骨髄幹細胞を得ることに成功し,GFPラット由来骨髄幹細胞をはじめMC3T3,ST2およびC2C12などの培養細胞を用いて、rh-BMP-2-I型アテロコラーゲン複合体の骨再生作用の検討をおこなった。評価の方法は、(a)組織学的、(b)ALP活性、(c)Smad1,Smad5,リン酸化Smad1/5/8のWestern blot、(d)I型コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、オステオカルシン、Smad1/5/8などのRT-PCRとした。 研究の結果rhBMP-2がWater-solble carbodiimide法によりI型コラーゲンに固定されrh-BMP-2-I型アテロコラーゲン複合体を形成していることを確認した。このrh-BMP-2-I型アテロコラーゲン複合体を細胞培養培地に加えることにより次のような結果を得た。 (1)rh-BMP-2-I型アテロコラーゲン複合体は、rh-BMP-2単体よりも効率的にALP活性を上昇させる。 (2)rh-BMP-2-I型アテロコラーゲン複合体は、rh-BMP-2単体よりも細胞内でのリン酸化Smad1/5/8の発現を持続されることができ、rh-BMP-2単体では、リン酸化Smad1/5/8の発現が1時間から24時間しか継続しないのに対して、rh-BMP-2-I型アテロコラーゲン複合体では、リン酸化Smad1/5/8の発現が72時間でも継続する。 こられより、rh-BMP-2-I型アテロコラーゲン複合体はBMP-2レセプターを介したCell signalを長時間持続させることがわかった。
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