研究概要 |
本研究は、固形癌における固形癌内部環境に特有なシスプラチン(CDDP)耐性誘導機構を解明すると同時にその誘導因子を同定することを目的に行う。平成16年度では親株であるA431細胞株とこれらのCDDP耐性細胞株のストレス環境下でCDDP感受性を比較検討し、それぞれのストレス環境下でのCDDP感受性規定因子を探る。 1.CDDP耐性癌細胞のストレス環境下におけるCDDP感受性の検討 (1)親株(A431/P細胞株)とCDDP耐性細胞株(A431/CDDP2細胞株)に固形癌内部環境と同様の低酸素,グルコース飢餓環境ストレスを与えGRP78,GRP94また、HIF-1α抗体を用いWestern Blotting法にて検討した結果、A431/P細胞株はストレスに経時的に強く反応するのに対しA431/CDDP2細胞株はストレスにほとんど反応しなかった。 (2)それぞれの細胞株に(1)と同様の低酸素,グルコース飢餓環境を与え、シスプラチン感受性をMTTアッセイ(Cell Titter 96,Boehringer社)にて検定した結果、CDDP処理によりA431/P細胞株はCDDPに対して高感受性化を示したが,A431/CDDP2細胞株ではほとんど変化しなかった。また、アポトーシスもA431/P細胞株は増加するのに対しA431/CDDP2細胞株ではほとんど変化しなかった。 2.ストレス環境下CDDP感受性規定因子の検索 未知の規定因子の検索をそれぞれの細胞株よりtotal RNAを抽出し、RT-PCRにてcDNAを合成しDifferential Display法にて発現の差が認められるバンドを約10種類切り出し、再増幅し、Invitrogen社TAベクターにクローニング、各クローンの両端から塩基配列を決定し、DNAデータベースの塩基配列と相同性の検索を行いCDDP感受性規定因子を探っている。
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