レンサ球菌由来抗腫瘍免疫療法剤OK-432の活性成分(リポタイコ酸関連分子:OK-PSA)の分離に成功し、OK-PSAがToll-like receptor (TLR) 4を介して抗腫瘍免疫活性を発現する事を明らかにした。本研究において、1)ヒトDCおよびマウス腹腔マクロファージ(PM)において、OK-432によるIL-12誘導は貪食阻害剤サイトカラシンBにより抑制された。2)OK-432がDCおよびPMにより取り込まれ分解される事がOK-PSAを認識する単クローン抗体(TS-2)を用いた間接蛍光抗体法にて明らかとなった。3)OK-432処理DCの培養上清中にはOK-PSAが存在し、TLR4発現細胞株においてNF-κB転写活性を上昇させた。この活性はTS-2抗体により中和された。4)OK-432を投与された担癌マウス血清中にOK-PSAが検出され抗腫瘍効果が発現された。しかし、サイトカラシンBで貪食能を阻害された担癌マウスでは、OK-432を投与しても、その血清中にOK-PSAは検出されず、抗腫瘍活性も認められなかった。OK-432の抗腫瘍活性において、貪食細胞による取り込み、活性成分の放出ならびにTLR4シグナルの活性化が重要である事が明らかとなった。次にOK-432の治療効果発現に重要な受容体分子TLR4が欠損している場合の対処法につき検討した。LL/2移植C57BL/6マウスにおいても、DCおよびOK-432腫瘍内投与により著明な抗腫瘍効果が得られたが、TLR4-/-マウスにおいては同療法で抗腫瘍効果は得られなかった。担癌TLR4-/-マウスに、DC+OK-432腫瘍内投与を施行する時、試験管内で誘導されたTLR4-/-DCにTLR4 cDNAの遺伝子導入を行なう事により、TLR4-/-マウスにおいても抗腫瘍効果が得られた。TLR4遺伝子発現異常により、OK-432の効果が得られないと考えられる患者において、TLR4遺伝子導入DC+OK-432併用療法が有効である可能性が強く示唆された。
|