研究課題/領域番号 |
16592008
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池本 清海 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (90091272)
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研究分担者 |
怡土 信一 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (00315095)
北原 誠子 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (60363339)
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キーワード | ラット / 海馬錐体細胞 / シナプス前神経週末 / カルシウムイオン濃度 / グルタミン酸 / ペントバルビタール |
研究概要 |
全身麻酔が臨床において実施され始めてから約160年になるが、数多くある全身麻酔薬の作用機序については不明な点が多い。電気生理学や遺伝子工学を応用した実験で、シナプス後膜に存在する受容体の機能が全身麻酔薬によって変化することが知られてきた。標本作製の困難さから、神経伝達のもう一つの要素である伝達物質放出に対する全身麻酔薬の効果に関する報告は少ない。我々はシナプス戦終末の付着した神経細胞を単離して、週末内のカルシウムイオン濃度を測定した。 1)ラット海馬のスライスを作り、機械的に細胞を単離してシナプス終末(bouton)の付着した神経細胞を得た。 2)共焦点レーザー顕微鏡を用いて、FM1-43の蛍光測定によりboutonを同定した。 3)Fluo3-AMの蛍光測光により、海馬錐体細胞内およびそれに付着しているbouton内のカルシウムイオン濃度を測定した。 4)グルタミン酸投与により海馬錐体細胞内およびbouton内のカルシウムイオン濃度が上昇するが、これには細胞外のカルシウムイオンが必要であった。 5)この両者のカルシウムイオン濃度上昇はL型カルシウムチャネルブロッカーとCNQXにより半減した。 6)ペントバルビタールハは両者のカルシウムイオン濃度上昇を抑制した。抑制の程度はbouton内の方が大であった。 7)ペントバルビタールはグルタミン酸による神経終末内のカルシウムイオン濃度上昇を抑制して、神経伝達物質の放出を減少することにより、神経伝達を修飾することが示唆された。
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