研究概要 |
骨組織からの骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)の分離・増殖・凍結保存法の確立と、長期に凍結保存された骨髄由来間葉系細胞のよる再生医工学を用いたハイブリッド型人工骨の開発を行った. 【実験】 1.ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells : MSC)のヒト血清培養の確立とScaffoldの確立 (1)ヒト血清培養と牛血清培養のアルカリフォスファターゼ活性、Ca濃度等の細胞生化学的活性の比較 (2)Scaffoldの確立:in vivoで3種類のporous hydroxyapatiteの骨形成能を比較 2.ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells : MSC)の増殖・骨分化誘導法の確立:MSCを自己血清の増殖因子(bFGF)存在下で増殖させ,次に骨分化誘導培地(グリセロリン酸添加、無添加)下で分化誘導。 (1)In vitro:骨芽細胞のアルカリフォスファターゼ活性、カルシュウム濃度等の細胞生化学的活性を検索。 (2)In vivo:骨組織のviabilityを検索. (3)MSCを増殖後、凍結保存。 3.凍結保存骨髄由来間葉系細胞のよるハイブリッド型人工骨の開発: 凍結保存骨髄由来間葉系細胞(MSC)を骨分化誘導培地(アスコルビン酸+デキサメサゾン+グリセロリン酸添加αMEM培地)で骨へ分化誘導した後に,porous hydroxyapatite上でこの骨分化細胞を播種しハイブリッド型人工骨を作製.このハイブリッド型人工骨を動物(ヌードマウス)移植し骨組織のviabilityを検討した。 【結果】(1)ヒト骨髄間葉系細胞のFBS培養下、ヒト血清培養下のいずれのにおいて細胞生化学的活性は同等であった。(2)Scaffoldの性状、形態によりin vivoにおける骨形成状態に差が認められた。(3)骨分化誘導培地としてアスコルビン酸+デキサメサゾン+グリセロリン酸添加αMEM培地が優れていた。(4)自己血清培養下、凍結保存ヒト骨髄由来間葉系細胞のよるハイブリッド型人工骨はin vivo研究において旺盛な骨形成をみとめた。 【考察】自己血清培養下に凍結保存ヒト骨髄細胞の骨形成能が確認された。今後この細胞の安全性が確認されれば臨床応用可能と考える。
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