将来的に骨欠損部への修復には間葉系幹細胞を利用しての再生治療が有用な方法である。現在、間葉系幹細胞を移植することにより、間葉系幹細胞が骨・軟骨細胞に分化することは示唆され、臨床にも応用され始めている。しかし、骨細胞あるいは軟骨細胞への誘導を左右するkeyとなる転写因子やタンパク質などについては、不明な点が多い。そこで、我々は間葉系幹細胞を培養することにより、それぞれの分化に関与する転写因子、分化の指標となるタンパク質あるいはその他関連因子についてGene Chipを用い、経時的変化を調べることを目的としている。今回は、間葉系幹細胞の軟骨への分化および骨への分化のGene Chip解析を行った。間葉系幹細胞をコントロールとしてGrowth Mediumを、骨誘導用としてOsteogenic Induction Medium、軟骨誘導用としてChndrogenic Induction Mediumを使用し培養した。軟骨誘導においては、コラーゲンタイプIIの産生を免疫組織化学染色にて確認した。培養21日後、Induction Medium培養細胞ではコラーゲンタイプIIの産生が認められたが、Growth Medium培養細胞では、認められなかった。以上の結果から培養間葉系幹細胞が軟骨への誘導の経過の一部が確認できた。骨誘導に関しては、Osteogenic Induction Medium培養により、Growth Medium培養より発現量が変化した遺伝子が確認できた。現在、詳細について検討中である。平成18年度は、Gene Chipを用い、軟骨への誘導時の遺伝子発現について検討を続ける予定である。
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