研究概要 |
培養骨芽細胞様細胞の担体として、各生体親和性材料(炭酸含有アパタイト(CAP)、β-TCP、ハイドロキシアパタイト(HAP))を用いた時の各タンパク発現(アルカリフォスファターゼ(Alp),オステオカルシン(OC))量の比較をおこなった。 (1)実験方法:各材料で直径300〜500μmの顆粒を作製し、これを担体として細胞を培養した。培養期間1週間、2週間の細胞のアルカリホスファターゼ(Alp)とオステオカルシン(OC)の発現量を測定した。測定にはTRACP&ALP Assay Kit(タカラバイオ)、RAT OSTEOCALCINE EIA KIT (Biomedical technologies Inc)を用いた。しかし、この方法は細胞の回収率により結果が異なり、データに再現性がないため中止した。 (2)実験方法:各材料で基盤を作製し、この基盤上で細胞を培養した。またコントロールとしてポリスチレン基盤を用いた。培養期間1週間、2週間の細胞のmRNA発現量をリアルタイムPCR法による相対定量法で測定した。測定したmRNAは、RUNX2、Alp、OC、オステオポンチン(OP)、オステオネクチン(ON)、骨シアロ蛋白(BSP)、デコリン(DEC)、I型コラーゲン(COL I)である。結果:AlpのmRNA発現量は各材料間でほとんど差がなかった。その他はHAP、β-TCPおよびCAPのmRNA発現量がコントロールより高かったものの、HAP、β-TCPおよびCAP間では差がなかった。 本研究によりCAPは骨芽細胞様細胞のmRNA発現を促進する材料であり、その影響はHAP、β-TCPと同程度であることが明らかとなった。今後は破骨細胞による生体材料の吸収性を検討したいと考えている。
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