研究概要 |
【目的】変形性顎関節症(OA)における病態解明の一環として、顎関節症患者滑液を用いて、RANKLおよびOPGを測定し、RANKL/OPG ratioを求めた。またアポトーシス関連因子についても着目し,滑液中のFasおよびNOを測定した,さらに、採取したOA患者滑液が、実際に破骨細胞分化誘導能・骨吸収活性を有するか否かを検討するために、ヒト末梢血単核細胞を用いた加碗mにて検討した。【方法】滑液は上顎関節腔洗浄療法時に採取し、RANKLおよびOPGはELISA法にて測定した。ヒト末梢血単核細胞からの破骨細胞分化はM-CSF存在下で常法に基づき行い、TRAP染色およびPit fbrmation assayを行った。【結果】RANKLに有意差は認めなかったが、OPGは健常者に比べて顎関節症患者において統計的有意に減少し、RANKL/OPG ratioは逆に統計的有意に増加した。滑液中のFas濃度においてDDw/oR群は健常者と比較して統計的有意に増加した。一方滑液中のNO濃度において、OA群およびDDw/oR群は、健常者と比較して統計的有意に増加した。またOA群は、DDwR群と比較して統計的有意に増加した。OAとRANKL/OPG ratioが同様な人工サンプルおよびOA患者滑液添加により、ヒト末梢血単核細胞からの破骨細胞の強い誘i導能ならびに骨吸収活性を示した。α-RANKL抗体あるいはOPGの添加は、OA滑液誘導破骨細胞分化を強力に抑制した。【結論】本研究は、顎関節症患者滑液中のOPG産生の減少を明示し、OA患者滑液が実際に破骨細胞分化誘導能および活性化能を有することをin vitroで証明した。この結果は、OAの骨破壊にOPG低下に基づくRANKL/OPG ratioの上昇が関わることを強く示唆する。 結果の一部は、国際顎関節学会(名古屋)にて発表を行い、論文はJ Dent Res, 2006, Jul ; 80(14):6964-72にて掲載された。
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