研究概要 |
センチネルリンパ節(Sentinel Lymph Node : SLN)の概念は,さまざまな癌手術の領域で浸透しつつあり,われわれも2002年12月から口腔扁平上皮癌患者を対象に,^<99m>Tc-phytateを用いてSLNの同定を試みてきた。そして,SLN及び頸部郭清リンパ節の病理組織学的検索により,口腔癌においてSLNの概念が成立するか否かを検討し,RI法によるSLN生検はcNO症例に対する頸部郭清術の適応の指標となる可能性を報告してきた。 今回,これまで当科においてSLNの同定を試みた口腔扁平上皮癌患者cNO症例14例(頸部郭清術を行わずSLN生検のみ施行した症例9例,選択的頸部郭清術を施行した症例5例)を対象に,SLN及びSLN以外の頸部郭清リンパ節への転移の有無を,H-E染色およびサイトケラチン(AE1/AE3)の免疫組織染色により検索した。 その結果,14症例すべてにおいて,それぞれ1〜2個のSLNが同定可能であり,そのうち1例はSLNとSLN以外の頸部郭清リンパ節にそれぞれ1個の組織学的転移を認めた。また,頸部郭清術を行わずSLN生検のみ施行した9例のSLNの免疫組織染色のうち1例に遊離腫瘍細胞(Isolated Tumor Cell : ITC)を認め,SLNに転移を認めなかったものの選択的頸部郭清術を施行した4例においては,免疫組織染色でもすべてのリンパ節が転移陰性であった。 以上の結果より,口腔癌においてSLNの概念が成立し,RI法によるSLN生検はcNO症例に対する頸部郭清術の適応の指標となることが示唆された。 尚,本概要は第6回アジア口腔顎顔面外科学会・第49回日本口腔外科学会総会(2004年10月:千葉)において発表した。
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