研究概要 |
センチネルリンパ節(Sentinel Lymph Node:SLN)の概念は,さまざまな領域の癌手術で浸透しつつあり,われわれは2002年12月から口腔扁平上皮癌患者を対象に,^<99m>Tc-phytateを用いたSLNの同定を試みた。SLNおよび頸部郭清リンパ節の病理組織学的検索し,口腔癌においてSLNの概念が成立するか否か,さらにRI法によるSLN生検はcNO症例に対する頸部郭清術の適応の指標となる可能性を検討した。 2006年2月までに当科においてSLNの同定を試みた口腔扁平上皮癌患者cNO症例21例(頸部郭清術を行わずSLN生検のみ施行した症例15例,選択的頸部郭清術を施行した症例6例)を対象に,SLNおよびSLN以外の頸部郭清リンパ節への転移の有無を,H-E染色およびサイトケラチン(AE1/AE3)の免疫組織染色により検索した。 その結果,21症例すべてにおいて,それぞれ1-2個のSLNが同定可能であり,そのうち2例はSLNとSLN以外の頸部郭清リンパ節にそれぞれ1個の組織学的転移を認めた。また,頸部郭清術を行わずSLN生検のみ施行した15例のSLNの免疫組織染色のうち1例に遊離腫瘍細胞(Isolated Tumor Cell : ITC)を認め,SLNに転移を認めなかったものの選択的頸部郭清術を施行した4例においては,免疫組織染色でもすべてのリンパ節が転移陰性であった。また最近は術中SNLの同定に色素法(ジアグノグリーン)を併用し、リンパ節生検時の摘出リンパ節の確認が容易になったがRI法と必ずしも一致しない症例があり今後の検討を要する。 以上の結果より,口腔癌においてSLNの概念が成立し,RI法によるSLN生検はcNO症例に対する頸部郭清術の適応の指標となることが示唆された。 本概要は第6回アジア口腔顎顔面外科学会・第49回日本口腔外科学会総会(2004年10月:千葉)において発表した。
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