研究概要 |
α_2-Agonist(クロニジン)経口投与を下歯槽神経ブロックに併用した場合に局所麻酔薬(8万倍希釈エピネフリン含有2%リドカイン、3%メピバカイン)の局所麻酔効果の増強および延長の程度、およびその副作用について検討した。さらに、脈波・コロトコフ音記録計GP-303を用いた循環動態の測定およびクロニジンによる副作用の一つである鎮静催眠作用の程度を評価するためにBISモニターを装着した。予備実験として行った8万倍希釈エピネフリン含有2%リドカインと3%メピバカインによる下歯槽神経ブロックの効果時間の比較検討結果(日本歯科麻酔学会雑誌,2005,33.(3),p369-372)より、本研究の測定時間は、4時間に決定した。クロニジンは長時間作用性の局所麻酔薬の効果は延長しないと報告されているが、我々の研究においても8万倍希釈エピネフリン含有2%リドカインを使用した場合、作用は延長せず循環抑制と鎮静効果のみが出現したので中止し、3%メピバカインによる研究のみに絞った。8人のボランティアに対しそれぞれ2回ずつの研究を行った。1回は、局所麻酔1時間30分前に4μg/kgのクロニジンを内服させ3%メピバカインにて下歯槽神経ブロックを行った。もう1回は、前投薬なしで同様に3%メピバカインにて下歯槽神経ブロックを行った。 クロニジンにより、3%メピバカインによる局所麻酔作用は有意に延長されたが、血圧、脈拍数、BIS値も有意に低下した。以上の結果より本方法は、催眠、低血圧、徐脈などの副作用が強いためモニターなどの設備が調っていない施設においての臨床応用は難しいものと考えられた。
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