研究課題/領域番号 |
16592036
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三留 雅人 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50261318)
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研究分担者 |
中村 渉 北海道大学, 病院・助手 (60372257)
白川 哲夫 北海道大学, 病院・助教授 (00187527)
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キーワード | 乳歯 / 多分化能 / 歯髄幹細胞 / 神経幹細胞 / 海馬歯状回 / 咀嚼 |
研究概要 |
最初に、歯髄幹細胞の動物実験モデルとして、生後4週目のGFPトランスジェニックマウスの切歯より歯髄を採取して10%FBSの入った培養液中で培養した。培養した細胞は蛍光波長下では緑色に発色した。この細胞は約1ヶ月後に、骨様の石灰化像を呈した。次に、神経細胞への分化能を検討するため、培養歯髄細胞を新生ワイルドタイプマウスの側脳室に移植した。移植後2週間後に固定を行ない、脳切片を作成した。蛍光下で移植細胞を検索すると、側脳室周辺に緑色に発色する移植細胞を認め、その中の一部は、神経様の突起を伸ばし、神経細胞に分化していることが示唆された。 次に、北海道大学病院歯科診療センター外来患者の抜去乳歯より歯髄を採取し、10%FBSの入った培養液中で培養した。培養10日目に、EGFの入った神経幹細胞培養用無血清培養液で10日間培養した。細胞の一部は神経幹細胞様の球状塊を形成し、これらの一部はneuroshpere様の浮遊塊となった。この細胞を新生マウス側脳室および海馬に移植し、移植後2週間後に固定を行い移植細胞の増殖を、ヒト核抗体により、染色した。移植細胞の大部分は、免疫反応により、死滅したが、一部の細胞は側脳室近傍および海馬歯状回において染色され、生着が確認された。現在、神経細胞のマーカーを用いて、これらの細胞が神経細胞に分化しているか検討中である。 一方、海馬に移植した細胞が神経幹細胞に分化し、どのような条件で増殖するかを調べるために、マウスに軟食投与および臼歯部抜歯を行なった群と通常の固形食を与えた場合の海馬歯状回の神経幹細胞の変化を比較した。軟食投与や抜歯を行なった群では、有意に神経幹細胞の生存率が減少し、咀嚼が海馬神経幹細胞に影響していることが明らかになった(論文発表済み)。今後は、マウス歯髄細胞やヒト脱落乳歯幹細胞を海馬に移植し、咀嚼の影響でどのような分化動態を示すのか検討したい。
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