研究概要 |
本研究は,超音波を用いて橈骨などの骨端軟骨(成長板)の骨化程度を,被曝を必要とせず非侵襲的に評価する手法を確立するため,超音波によって得られた波形および画像による解析結果から手部X線写真から算出される骨年齢との回帰式を求め,上・下顎骨の成長ポテンシャル(残余成長量)予測精度を調べることである.本年度は,基礎的検討としてイスラエルSunlight社の超音波による骨年齢測定装置である"BonAge"をわが国で唯一保有している獨協医科大学小児科と協力してデータ採取し検討を行った.本研究の主旨と測定にはあたっては侵襲もないことをよく説明し,同意を得たうえで超音波による測定を行った.対象は成熟度の評価が必要とされた男女合わせて37名である.測定部位は左側の橈骨および尺骨とした.そのうちの10例における測定者間誤差は0.54±0.36歳,17例における測定間誤差は,0.51±0.42歳であった.また,同時に撮影した手部X線写真を用いて,日本人標準TW2法(RUS法)およびCASMAS法により骨年齢を評価し,両者の結果と超音波法による測定結果とを比較した.その結果,超音波法とTW2法,CASMAS法との相関係数は有意であり,それぞれr=0.89,r=0.85であった.本装置は,手首関節部の骨幅と超音波伝達速度(SOS)を測定することにより,骨年齢を算出している.しかし,算出までのアルゴリズムは不明であり,日本人での評価に関しては標準化または換算式の作成が必要であると思われ,さらに測定部位についての検討も必要であると考えられた.
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