研究概要 |
本研究の目的は、超音波を用いて橈骨などの骨端軟骨(成長板)の骨化程度を、被曝を必要とせず非侵襲的に評価する手法を確立するため、超音波によって得られた波形および解析画像と手部X線写真から算出される骨年齢との回帰式を求め、上・下顎骨の成長ポテンシャル(残余成長量)の予測精度について検討を行うことにある。本年度は、昨年度に引き続きイスラエルSunlight社の超音波による骨年齢測定装置である"BonAge"を用いて獨協医科大学小児科と協力し、成熟度の評価が必要とされた男女合わせて70名を対象として、データの採取および検討を行った。測定部位は左側の橈骨および尺骨とした。同時に撮影した手部X線写真を用いて、日本人標準TW2法(RUS法)およびCASMAS法により骨年齢を評価し、両者の結果と超音波法による測定結果を比較した。その結果、超音波法とTW2法、CASMAS法との相関係数は有意であり、それぞれr=0.90,r=0.87であった。本装置は、手首関節部の骨幅と超音波伝達速度を(SOS)を測定することにより、骨年齢を算出している。しかし、算出までのアルゴリズムが不明であり、日本人での評価に関しては標準化または換算式の作成が必要であること、加えて測定部位についての検討も必要であると考えられた。そこで、第三中節骨、栂指末節骨、橈骨の各部位について、超音波の波形の分析を行った。今年度は成人を対象に骨化後においての検討を行ったが、さらに今後は骨の癒合する前の披験者におけるデータの分析を予定している。
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