研究課題/領域番号 |
16592042
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
寺田 員人 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教授 (00139312)
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研究分担者 |
七里 佳代 新潟大学, 保健管理センター, 講師 (60235538)
森島 繁生 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10200411)
宮永 美知代 東京芸術大学, 美術学部, 助手 (70200194)
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キーワード | 外科的矯正治療 / 表情 / 3次元形態 / 3次元計測 / 心理学的変化 |
研究概要 |
本研究の目的は、外科的矯正治療前後の心理・精神面と表情表出の変化とその相互作用を調べ、静的な顔貌の調和だけでなく、動的な表情表出の調和を目指した治療体系を構築するための基礎研究としている。 外科的矯正治療後の軟組織形態とその動的解析を行うためには、硬組織移動量に対する軟組織移動量を知ることが重要である。今年度は、外科的矯正治療により劇的にかつ良好に改善する顔面非対称を伴う骨格性下顎前突症患者の顎矯正手術前後における顔面硬組織変化量に対する軟組織変化量について分析検討を行った。 資料・方法:顔面非対称を伴う骨格性下顎前突症と診断され、上下顎移動術により治療を行った患者で、術後に精査を目的として撮影したX線CTデータを資料とした。このX線CTデータから三次元再構築ソフトウェアVolume Extractorにより三次元再構築を行った。三次元計測ソフトウェア3D-Rugleを用いて、術前後における硬軟両組織について4部位の三次元座標系を統一し、術前軟組織の厚径と術前後における硬組織と軟組織の変化量を計測した。次に、追従率=(軟組織変化量/硬組織変化量)を算出し、検討した。 結果・考察:硬組織が後退変化した計測点では、硬組織に対する軟組織の追従率は頬部よりオトガイ部で高く、非偏位側より偏位側で高い傾向を示した。一方、硬組織が突出変化した計測点では、硬組織に対する軟組織の追従率は偏位側、非偏位側ともに頬部において後退変化と比較して低い値を示した。以上の結果から、後退変化に比べて突出変化する部位において治療に伴う変化の予測が困難であることが推察された。 結論:本手法で行った三次元分析は左右差の検出能に優れ、顔面非対称患者の顎矯正手術後における硬組織変化量に対する軟組織変化量を広範囲かつ客観的に扱えることが示され、術後の表情変化を検討する上で有益な結果が得られた。
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