研究概要 |
両眼眼球運動測定装置を用いて従来行った実験(1.Application of measuring apparatus on eye movement for child management in pediatric dentistry,2,両眼眼球運動測定装置TKK2901による眼球運動停留点の分析)では,被験者の頭部の動きをアゴ乗せ台やヘッドレストを用いて可及的に抑制した。また,もう一つの実験(3.Three-dimensional Analysis of Dentist's Eye Movements)では,実際の診療室で臨床場面を被験者の頭部の固定を行わずに直接見せる実験を行った。本装置は,被験者が注視した場所までの距離を,両眼のなす輻輳角から計算上求めるものである。三実験とも,得られた距離の数値は実測値と必ずしも一致するものではなく,実験3.のように頭部運動の抑制を行わない場合には他の1.2.の実験より更に一致率は低いものであった。その理由として,ヒトの両眼は同時に連動するものではなく,利き目が優位に動くためにまず対象に向かい,利き目に遅れてもう一方の目が対象に向かうという両眼の間で時差を生じた運動を繰り返していると我々は推論する。 また,ヒトは生命ある限り完全に身体の動きを封じることはできない。実験では被験者の頭部の動きを可及的に抑制したつもりであるが完全に動きを封じた訳ではなく,頭部の動きに関して現段階で科学的に制御できていない。この頭部の動きに関する制御システムとして,平成16年度においては,従来使用してきた両眼眼球運動測定装置及びFree Viewのアタッチメント,すなわち頭部運動補正装置と分析ソフトの開発に取り組み,平成17年7月における完成と同装置を使用しての実験開始を予定している。よって平成16年における実験成果は従来の仮説推論の枠を出ていない。関連ある論文、報告は見られない。
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