研究概要 |
抗てんかん薬服用による歯肉増殖症発症の判別に有効な要因を検索するため、性別,年齢、口腔衛生状態,食事形態、服用抗てんかん薬の種類を説明要因として数量化II類を用いて分析した。 調査対象は、某重症心身障害児施設に入所している患者のうち,てんかんを合併し抗てんかん薬を服用している4歳5ヶ月から61歳5ヶ月(平均年齢26歳3ヶ月±11歳10ヶ月)の男性31名,女性22名総計53名で以下の結果を得た. 1.「歯肉増殖の有無」の判別に最も寄与する要因として抽出された説明要因は「抗てんかん薬の種類」、次いで「口腔清掃状態」であり、「性別」と「年齢」はその判別にわずかに寄与しており、両者は類似した寄与程度であった。 2.「歯肉増殖あり」と最も関連の強い重症心身障害者の特徴は「PHT服用者のうちVPAを併用していないもの」、「口腔清掃が不良」なものであり、さらに「10歳代」、「女性」であればその危険性が大きくなる傾向がみられた。次に関連の強い患者の特徴は「VPA服用者でPHTを併用していないもの」で「口腔清掃が不良」なものであり、さらに、「10歳代」、「女性」であればその危険性が大きくなる傾向がみられた。 3.「歯肉増殖なし」と最も関連の強い重症心身障害者の特徴は、「PHT, VPA以外の抗てんかん薬服用」で「口腔清掃良好」なものであり、さらに「男性」、「20歳代」であればその危険性が小さくなる傾向がみられた。 なお、発達障害児の障害による歯科疾患発症の特異性の検索については、歯科疾患罹患状況と口腔環境、口腔機能、日常生活、歯科保健習慣の関連性についてデータ収集中である。
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