研究概要 |
(1)被験者およびゲノムDNAの採取 被験者は,インフォームドコンセントの得られた慢性歯周炎600名(重度300,軽度300),広汎型侵襲性歯周炎100名及び健常者100名とし、末梢血を採取後、匿名記号化したのち、ラボにてDNAを抽出した。 (2)解析方法 Pooled DNA法によるマイクロサテライトタイピングを行い、増幅されたPCR産物の電気詠動上の波形パターンをもとにして推定対立遺伝子頻度を求め,疾患群とコントロール群での相関解析を行う。 (3)スクリーニング方法および検索領域 サンプル構造に依存した偽陽性の出現を抑えるため,対象集団を3段階(慢性歯周炎重度100、軽度100名ずつ)に分けてスクリーニングを行う。本研究では1621遺伝子を含む第19染色体、全長約63Mbpに対し,100kb毎に約630個の多型マイクロサテライトマーカーを設定して検索する。 (4)結果 第19染色体約63Mkbのうち、実際には、遺伝子が存在していないとされるセントロメア領域の18Mkbを除く領域について、454個のマイクロサテライトマーカーを選択し、タイピングを行った。慢性歯周炎における1次スクリーニングでは、遺伝的統計学に基づく相関解析により、84マーカーに陽性(有意差あり)が認められた。さらに、2次スクリーニングによって5マーカーにまで絞り込まれた。一方、慢性歯周炎と侵襲性歯周炎で共通するマーカーを検索したところ、1マーカーのみ陽性が認められた。 今後、これら候補領域に存在する歯周病感受性遺伝子を特定するために、3次スクリーニングでは、1サテライトマーカーにつき、数kbp毎に20〜30SNPsマーカーを設定し、遺伝子タイピングならびに相関解析を行う予定である。現在、3次スクリーニング用のサンプル、マーカーの準備中である。
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