研究課題
基盤研究(C)
本研究では、歯周病の感受性に関わる遺伝子検索システムを開発することを目的として、従来の候補遺伝子アプローチ法と、ゲノム上の物理的位置関係から感受性遺伝子を特定するゲノムワイド関連解析法にて解析した。1 ゲノムワイド関連解析法:本研究についてインフォームド・コンセントが得られた慢性歯周炎重度患者200名および軽度患者200名を対象にゲノムDNAを採取した。また、対象とするゲノムとしては、全長が短い割に遺伝子数が多いことから第19染色体を選択した。100kbp間隔で454のマイクロサテライトマーカーを設定後、プールDNA法により相関解析を実施して各々推定対立遺伝子頻度を求めた。その結果、第1次スクリーニング解析では84マーカー、第2次スクリーニング解析では更に絞り込まれて5マーカーが統計学的に陽性となった。第1次と第2次で使用した重度および軽度サンプルを入れ替えて再度スクリーニング解析したところ、最終的には2マーカー領域内に慢性歯周炎感受性遺伝子が存在する可能性が示唆されたが、従来の候補遺伝子アプローチ法で報告されているFcαレセプター、トランスフォーミング成長因子(TGF-β1)、ホルミルペプチド(FMLP)レセプター遺伝子との関連は認められなかった。2 歯周病感受性遺伝子:従来の候補遺伝子アプローチ法により数多く報告されてきた歯周病感受性に関連する遺伝子多型を再解析したところ、侵襲性歯周炎に関わるものとしては、インターロイキン1(IL-1)遺伝子、Fcレセプター(FcR)遺伝子、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子などが有力であった。一方、慢性歯周炎に関連するものとしては、インターロイキン1(IL-1)遺伝子、Fcレセプター(FcR)遺伝子、腫瘍壊死因子α(TNF-α)遺伝子などが有力であった。
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