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2005 年度 実績報告書

唾液分泌量と口渇感の関連:催唾剤作用の違い

研究課題

研究課題/領域番号 16592075
研究機関九州歯科大学

研究代表者

芳賀 健輔  九州歯科大学, 歯学部, 講師 (80014380)

研究分担者 横田 誠  九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40107298)
稲永 清敏  九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90131903)
小野 堅太郎  九州歯科大学, 歯学部, 助手 (40316154)
キーワード催唾剤 / 口腔乾燥症 / ピロカルピン / 唾液 / 飲水 / ムスカリン受容体 / ラット / アトロピン
研究概要

ピロカルピンはムスカリン受容体アゴニストであり、催唾剤として口腔乾燥症の治療に使用される。一方、動物実験において、ピロカルピンは口渇感による飲水行動を誘発することが分かっている。このように唾液分泌と口渇感という相反する作用と薬物の中枢での作用について調べるため以下のような実験を行った。
無麻酔無拘束ラットの腹腔内にピロカルピン(0.4-12μmol/kg)を投与した。唾液分泌量は1.2μmol/kgから濃度依存性に増加、また飲水量は4μmol/kgから有意な増加が認められた。ピロカルピン脳室内投与(0.03-30nmol)の場合、唾液分泌量は有意な増加が認められず、飲水量は0.1nmol以上で濃度依存性に増加した。このように唾液分泌と飲水行動における作用濃度の差と投与方法による差が生じた。そこで、中枢でのピロカルピン作用を遮断するため、ムスカリン受容体アンタゴニストであるアトロピンを脳室内に前投与した。ピロカルピン腹腔内投与12μmol/kgにおける飲水行動は抑制されたが唾液分泌は抑制されなかった。また、ピロカルピン脳室内投与30nmolにおける飲水量はアトロピン前投与により抑制された。さらに、ほぼ等しい飲水量を示したピロカルピン腹腔内投与12μmol/kg群とピロカルピン脳室内投与0.3nmol群において60分間の飲水時間経過を調べたところ、腹腔内投与群ではゆっくりとした飲水が45分頃まで続くのに対し、脳室内投与群では15分でピークを迎え、45分頃には終息するという結果を示した。また、唾液分泌においてピロカルピン腹腔内投与12μmol/mL/kg群と脳室内アトロピン前投与群を比較したところ有意差は認めなかった。以上のことからピロカルピンは中枢神経系に作用して口渇感を誘発し、唾液腺に作用して唾液分泌を促進することが示唆された。さらに、ピロカルピンとは別のムスカリン受容体アゴニストの催唾剤であるセビメリンで同様の実験を行った結果、腹腔内投与により唾液分泌は誘発するものの、飲水行動は発現しないことがわかった。また、比較的高濃度のセビメリンを脳室内に注入すると飲水行動は発現することおよびアトロピンにより効果が減弱されることから、セビメリンはムスカリン受容体を活性化するもののその効果は弱いと考えられた。この結果より、高濃度の催唾剤を使用するときには、唾液分泌ばかりでなく、副作用としての口渇感を考える必要があるが、セビメリンはその点において優れているのではないかということが示唆された。
ピロカルピンが中枢に作用するか否かをc-fos免疫組織化学を用いて調べ、ピロカルピンが中枢に作用することを明らかにする結果を得た。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Pilocarpine-induced salivation and thirst in conscious rats.2006

    • 著者名/発表者名
      Sato N, Ono K, Honda E, Haga K, Yokoda M, Inenaga K.
    • 雑誌名

      J.Dental.Res. 85

      ページ: 64-68

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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