本年度は、本法の歯周検診への応用を目標として、前歯、臼歯、頬側、舌側などあらゆる部位の測定が可能となるように、また、視診による評価の情報も追加して、動画像から収集した歯周臨床情報の測定値の結果出力プログラムを改良した。さらに、その測定値のテキストファイルがネットワークを介して送受信できるかどうかを確認した。歯周臨床情報は、歯周ポケットの深さと歯肉の炎症度および歯垢の付着度を選択した。代表歯として、左側上顎第1小臼歯、左側上顎中切歯、右側上顎第1大臼歯、右側下顎第1小臼歯、右側下顎中切歯、左側下顎第1大臼歯を選択した。歯周ポケットの深さの測定には模型を全顎撮影した(5シーン)動画像を用いた。歯肉の炎症度と歯垢の付着度の測定には被験者7名の口腔を全顎撮影した動画像を利用した。抽出した代表歯の頬側および舌・口蓋側の静止画像計204枚について、歯周臨床情報を画像上で測定した。歯周ポケットの深さは、測定歯の歯肉溝に挿入した歯周プローブが、目視で3.5mm(浅い歯周ポケット)および5.5mm(深い歯周ポケット)を示すように調整した後、その深さを計測して実測値に換算した。歯肉の炎症度は、歯肉腫脹の評価として、測定歯に隣接する歯間乳頭部全体に対する上部面積の比とした。歯垢の付着度は、測定歯面全体に対する染色部面積の比とした。歯周ポケットの深さの測定値と視診との誤差は、頬側では94%、舌・口蓋側では83%の画像が上下0.5mmの範囲内であった。歯肉の炎症度の測定平均値は、Gingival Index (GI)がスコア0の画像では0.28、スコア1では0.33、スコア2では0.40であった。歯垢の付着度の測定平均値は、Plaque Index (PlI)がスコア0の画像では0.02、スコア1では0.11、スコア2では0.32、スコア3では0.69であった。
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