本研究では、歯周診査のビデオ撮影を行い、歯周臨床情報を、動画像として一括して自動収集し、汎用の集計・統計ソフトウェアで利用可能なデータに変換するシステムを開発することを目的とした。16年度は口腔内CCDカメラを用いた撮影条件と動画像から目的の静止画像を取り込む過程を検討した。撮影した動画像上での歯周プローブの目盛りや歯肉縁や辺縁歯肉・プラークの状態を、口腔内を視診した場合と比較したところ、画像撮影の時点で考慮するべき点が見つかった。歯周診査のビデオ画像から、動画像取り込み用のグラフィックボードを介して、プロービング圧が最適圧を示した画像を抽出した。17年度は、歯周臨床情報の数値化と視診判定との誤差を検討した。解析コンピュータ上で、7名の被験者の代表6歯(FDI code、16、21、24、36、41、44)について、頬側および舌・口蓋側の静止画像計204枚を処理した。歯肉炎症度は、測定歯に隣接する歯間乳頭部全体に占める上部面積の割合とした。歯垢付着度は、測定歯面全体に占める染色部面積の割合とした。歯周ポケットの深さの視診と画像測定との誤差は、頬側では94%、舌・口蓋側では83%の画像が上下0.5mmの範囲内であった。歯肉炎症についてGingival Indexのスコア別に算出したところ、スコア0が23.9-32.2%、1が27.8-39.6%、2が25.2-47.5%の範囲であった。歯垢付着について、Plaque Indexのスコア別に算出したところ、スコア0が0.8-3.2%、1が8-22.2%、2が16.3-48.0%、3が51.2-84.6%であった。画像測定で算出された数値を含むファイルをネットワーク経由で送受信し、汎用の集計・統計ソフトウェアで扱うことができた。今後、集団健診などの場面で実用可能な測定デバイスへと発展させる研究を計画をしている。
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