研究概要 |
胃や腸の消化管の粘膜に限局して発現する抗菌物質」のトレフォイルファクター(TFF)ペプチドの一つであるTFF3ペプチドがヒト顎下腺においても発現していることが報告されたため,TFF3ペプチドの粘膜の炎症に対する防御的役割を明らかにし,歯周病に対する防御的ワクチンとしての応用をも目指すことを目的とする。最終年度の本年度は,初年度に作製した遺伝子導入用のプラスミドベクターTFF3連結pCAGGS, pEGFベクターを用いてマウス個体への遺伝子導入およびタンパク発現について検討した。 1.遺伝子導入ならびにタンパク発現の成否を確認するためのコントロールとしてpEGFベクターの導入を行った。ベクター導入にはHVJ-エンベロープ導入剤を用い,マウス個体へは腹腔内投与にて行った。GFPタンパクの発現は蛍光顕微鏡にて観察した。 2.遺伝子導入後,3日目にマウスを解剖し,大腸の凍結切片を作製し,蛍光観察を行った。HVJ-エンベロープ導入剤による単独導入によってはGFPタンパクの弱い蛍光のみが観察された。 3.HVJ-エンベロープ導入剤にEDTAを同時に添加した場合,大腸固有層のバネート細胞近傍にGFPタンパクの明らかな蛍光を確認した。 TFF3連結GFP融合pCAGGSベクターでのGFPタンパクの蛍光は顕著ではなかったため,今後,pCAGGSベクター以外のベクター,すなわちpEGFベクターへTFF3遺伝子を連結しベクター等の検討も必要であると考えられる。さらに,導入効率を高める工夫の必要性も明らかになった。
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