研究課題/領域番号 |
16592097
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
関 みつ子 日本大学, 歯学部, 助手 (20226640)
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研究分担者 |
山下 喜久 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20192403)
前野 正夫 日本大学, 歯学部, 教授 (60147618)
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キーワード | 肺炎球菌 / 遺伝子増幅法 / 検出 / 同定 / インフルエンザ菌 |
研究概要 |
肺炎球菌は市中肺炎、菌血症、髄膜炎、中耳炎等の重要な病原体である。従来、肺炎球菌の検出は、培養と生化学的性状により行われ、手間と時間を要した。PCR法による検出も試みられるが一般への普及には至っていない。肺炎球菌に特異的とされているlytAおよびply遺伝子を持つ肺炎球菌以外の連鎖球菌の存在は原因菌の速やかな同定を困難にしている。そこで本研究では、口腔内に多数存在する肺炎球菌類似の遺伝子配列を持つ連鎖球菌と同菌を区別し、肺炎球菌のみに特異的な遺伝子配列を特定し、PCR法に代わる新規遺伝子増幅法を用いて、同菌の簡易迅速検出を試みた。 検出法の確立:従来、肺炎球菌に特異的とされていたlytA遺伝子配列と肺炎球菌以外の連鎖球菌株の同遺伝子配列のシークエンス結果を用いて、肺炎球菌のみに特異的なlytA遺伝子配列を特定した。これをもとにプライマーを設計し、新規遺伝子増幅法による検出を試みた。その結果、同検出法の感度はPCR法の1000倍で特異度も良好で約30分間で反応を認めた。さらに、小児口腔内より分離された肺炎球菌4菌株とlytAあるいはply遺伝子を持つ肺炎球菌以外の連鎖球菌21菌株を用いて新規遺伝子増幅法とPCR法の比較を行った。その結果、新規遺伝子増幅法は肺炎球菌4菌株のみ検出したが、lytA遺伝子を標的としたPCR法では4例、ply遺伝子を標的としたPCR法では17例の擬陽性検出結果を認めた。 リアルタイム濁度モニター有用性の検討:新規遺伝子増幅法は反応が進行すると溶液が白濁し、目視にて容易に検出できる。この特徴を用い反応溶液の濁度をリアルタイムで測定した。その結果、反応溶液中の肺炎球菌遺伝子のコピー数の常用対数とスレッシュホールドタイム間に直線関係が認められ、同装置を用いることにより肺炎球菌の濃度測定の可能性も考えられた。 以上の所見より、本検出法は迅速で簡便、鋭敏な信頼できる方法と考えられた。 さらに同様の方法を用いて肺炎球菌に次いで市中肺炎、髄膜炎、中耳炎等の重要な病原体であるインフルエンザ菌についても新規遺伝子増幅法による検出法の確立を行った。
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