研究課題
基盤研究(C)
当該研究期間内に以下の成果が得られた。1.年齢鑑定において、従来必要であった対照歯に代わる各歯種別、年齢別の対照試料を作製し、ほぼ正確に年齢を求めることが可能となった。2.アスパラギン酸(Asp)専用のFSカラムを作製し、分以内に明瞭にD型、L型を分離できるカラムを作製した。3.歯槽骨からのAspのラセミ化率は、以前実施した大腿骨に比べかなり低値を示し、大腿骨より代謝が活発である証を得、性差もみられた。4.マンモスとヒトの象牙質のラセミ化率の比較を行い、ヒトより低値であり、マンモスではヒト同様にセメント質側の方が高値を示した。5.(5)ラセミ化法による年齢推定において、最も良い指標はAspである。Asp以外のアミノ酸からの報告はみられない。しかし、他のアミノ酸も活用できれば、本法の信頼性の向上に役立つと思われる。そこで、Aspの他にグルタミン酸(Glu)及びアラニン(Ala)について検索した結果、可溶性成分を利用すると、Asp以外のGluおよびAlaも十分活用できる可能性が示唆された。6.下顎骨のラセミ化率を検索したところ、Aspのラセミ化率は、下顎枝と下顎体では下顎枝で、下顎体上部と下部では下部で、下顎体上部の臼歯部と前歯部では臼歯部でそれぞれ高くみられた。7.焼死体の歯を想定した加熱実験から、茶褐色になった歯からでも測色計を用いることにより、年齢推定可能になることが示唆された。
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