今年度は、病院・施設を対象に、導入されているコンピュータシステムの状況、看護師の免許を所持した上で、さらに必要と考える情報に関連した知識・技術について、医療情報部(またはそれに類する部)に看護師は所属しているか、看護の臨床現場における情報の知識・技術をもった看護師の採用について、調査を行った。その結果を基に、看護情報を担当する看護師として求める知識、技術について社会的なニーズを検討した。 病院・施設を対象とした調査の結果、回答があったのは、700床以上の全大規模病院159箇所のうち、57施設であった(回収率35.8%)。看護と情報科学の関わりについての知識を求めた者が63%、病院という環境の中でパソコンを利用する知識があることを求めた管理者が89%、情報についての倫理観を求めた者は98%存在した。現役看護師、看護管理者への教育については、「看護業務を行うためのコンピュータ操作を教育することができる」54名(95%)、「情報倫理に関する法規を教育することができる」では42名(74%)が、教育することができる能力を求めていた。 また、情報の知識を持った看護師を採用したいと考えている回答者は50名(88%)であるが、実際に「医療情報部に看護師が所属している」と回答したのは15名(26%)であった。さらに、情報の知識をもった看護師に期待する回答者は44名(77%)であった。 その結果、地域・企業・病院・施設の調査結果を踏まえて、大学院前期課程における看護情報学の教育カリキュラム試案を立案し、カリキュラムの評価を行い、報告書を作成した。
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