研究概要 |
1.炎症モデル動物を用いた吸引実験 1)炎症モデル動物の作成 フィッシャーラット6匹(F-344系雄性,8〜15週齢)に対して、ブレオマイシン塩酸塩を体重1Kg当たり10mgで腹腔内注射による投与を4回〜10回行った(投与期間10日〜37日).ブレオマイシン塩酸塩最終投与から2日〜14週間後にラットを深麻酔下で脱血死させた後,気管を摘出した.この気管を正中線上に切開し,切り出してホルマリンで固定した後HE染色を施した.この標本を病理組織学的に検索した結果,粘膜組織中に好中球を確認した.血液検査データは,全症例の白血球数,血小板数,血清アルブミン値に,3例の赤血球数,ヘモグロビン値に著明な低下を認めた.4例にGOTまたはGPTに軽度または著明な上昇を認めた. 2)ブレオマイシンを投与したラット気管を用いた吸引実験 1)のブレオマイシンを投与し脱血死させ,摘出・切開したラットの気管粘膜に,2側孔を塞いだ3孔式カテーテルの先端開口孔を軽く当て静止した状態で圧400mmHgによる8秒間の吸引を実施した.吸引した部位を切り出し,ホルマリンで固定した後HE染色を施した.この標本を病理組織学的に検索した結果,ほとんどの標本に基底膜まで達する粘膜損傷を認めた. 2.栄養状態の相違による粘膜への影響の検討 絶食させたウサギを深麻酔下で致死させ,気管を摘出し,気管を正中線上に切開した.この気管粘膜上に3孔中2孔を塞ぎ横にしたカテーテルを当て,粘膜上を2秒間一方向に静かに動かし,吸引した.吸引圧は100mmHg,200mmHg,300mmHg,400mmHgで実施した.吸引した部位を病理組織学的に検索したところ粘膜損傷が基底膜まで達する例がいずれの圧でも認められた.基底膜まで達する損傷は,同様の方法で吸引した健康ウサギでは吸引圧200mmg,300mmHgでは認められなかった.
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