本研究では、日常生活援助を通して行われる患者のエンパワメントに焦点をあて、その看護ケア技術を明らかにすることを目的とした。疾病および治療によりおおむね5日間以上ベッド上安静を要し、食事・排泄・清潔の援助など、日常生活に関する援助を看護師から受けた、おおむね20歳以上65歳未満の患者で、インタビューを行う上でコミュニケーションに問題のない患者20名を対象として、インタビューを行った。インタビューより、「食事」「排泄」「清潔」「休息/活動」「人とのかかわり」の領域において看護師が行っている日常生活援助の中で、患者がEmpowermentされた行為、及び、Disempowermentされた行為を明らかにした。 上記のデータ分析によって明らかにされた看護行為より、患者をエンパワメントさせる看護行為に関するケアプロトコールを作成し、外科系病棟の看護師を対象にそのプロトコールの実施可能性について意見を求め、修正を行った。 次に、外科系病棟に入院し、術後ベッド上安静を要し、日常生活援助を看護師から受ける患者に対して、病棟の看護師より上記のケアプロトコールを用いてケアを試みて、実施後、患者及び実施した看護師のインタビューを行った。看護師には、実際にケアプロトコールに従って実施したケア内容と実施時の患者の反応について、患者からはケアを受けた際の思いについてインタビューを行い、作成したケアプロトコールに対する評価を行った。
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