本研究は、疾病や治療によって日常生活行動を他者に委ねなければならない患者に対して、看護師が日常生活行動の援助を行う中で、患者のEmpowermentやDisempowermentにつながっている看護師の行為を明らかにすることを目的に、疾病および治療によりおおむね5日間以上ベッド上安静を要し、食事・排泄・清潔の援助など、日常生活に関する援助を看護師から受けた患者15名を対象に、「安心できた」「嬉しかった」「元気が出てきた」「今後のことに希望を感じられるようになった」「自分がしたいこと、して欲しいことを伝えられた」「自分自身でどうしたいのかを決め、自分の意思や力を使ってやれた」と思った場面、及び、「不信感を感じた」「悲しい気持ちになった」「元気がでなくなった」「今後に希望が感じられなくなった」「自分がしたいことが伝えられなくなった」「自分のことが自分で決められなくなり、自分の力ではできない」と思った場面をインタビューした。 患者によって語られた「食事」「排泄」「清潔・整容」「活動と休息」に関する援助場面を分析した結果、Empowermentにつながる看護師の行為として、「患者が納得してケアを受け入れられるようなプロセスを踏む」「患者が計画したことを尊重し、その中で協力できることを提示する」「具体的な対処方法を提示する」「回復の状態が伝わるように、患者が出来るようになったことを伝える」が抽出された。また、Disempowermentにつながる看護師の行為として、「援助に対する希望を伝えられない患者に対して、それを緩和する方策をとらない」「援助に対する希望を伝えられない患者に対して、患者の思いと異なる介入をする」「患者の身体に触れる時丁寧さを欠き、その際の看護師の表情が不快感を示している」「看護師間で不統一な関わりをする」が抽出された。
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