研究概要 |
障害者授産施設における「施設外授産」活動の実態と一般就労への移行の課題を把握するために、全国の障害者授産施設(1,865ヶ所)を対象に質問紙による調査を行った。国の施設外授産による就職促進モデル事業に参加した施設の担当者からの聞き取り調査を行い、その効果について検討した。事例研究として、就職促進モデル事業を活用した知的障害者授産施設とそれを受け入れた事業所について、事業全体の企画・実施に関与し、利用者・家族・受け入れ側の担当者等からの聞き取りを中心に、施設外授産活動の効果や条件について検討した。質問紙調査では、有効回答数は837施設、回収率は48.21%であり、回答した施設における施設外授産活動の取組み状況は、「施設外授産活動あり」が380施設(45.4%)、「施設外授産活動なし」が457施設(54.6%)であった。施設外授産活動を行っている施設の方が、関係者の意欲の側面に関心を寄せ、また、関係機関の支援や受け入れる事業所の開拓について、より現実的な問題意識を持ちやすい傾向があることがわかった。施設外授産活動は、実際の取組みを通して、その一般就労に向けた課題に直面化し、解決すべき課題をより認識する上で有効であると考えられ、施設外授産活動は、当該障害者の一般就労への動機付けだけでなく、他の施設利用者にも影響を与えていることがわかった。以上の成果をもとにヨーロッパ先進諸国における「保護雇用」との比較から「施設外授産を活用した一般就労への援助モデル」を概念構築し、就労移行支援や就労継続支援を含む今後の障害者自立支援法下における変革も意識しながら、援助の際の視点や留意点について、現場の実践者や専門家からの意見を踏まえ検討した。
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