研究課題/領域番号 |
16592120
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
丸岡 直子 石川県立看護大学, 看護学部, 助教授 (10336597)
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研究分担者 |
川島 和代 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (40157855)
水野 道代 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (70287051)
泉 キヨ子 金沢大学, 大学院・医学系研究科・保健学専攻, 教授 (20115207)
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キーワード | 入院患者の転倒 / 転倒防止 / 転倒リスクマネジメント / 看護師 / 新人看護師 / ヒヤリ・ハット / 経験学習 / 臨床経験 |
研究概要 |
本研究では、転倒に関連した看護師自身の臨床経験が、転倒リスクマネジメント能力の育成にどのように関連しているかを明らかにし、この結果をもとに看護師の転倒リスクマネジメント育成プログラムを開発することをめざしている。 厚生労働省のヒヤリ・ハット事例収集(2002)によれば、新人看護師によるヒヤリ・ハット報告の比率が高く、安全な医療を提供するために不可欠な臨床実践能力の早期獲得・強化が求められている。また、報告された重要事例の約17%が転倒事故であると報告されており、新人看護師が転倒事故に遭遇する頻度が高いことが推察される。 そこで、新人看護師に焦点をあて、新人看護師が転倒に関連した臨床での経験を重ねることにより、どのようにして転倒リスクマネジメント能力を形成しているのかを明らかにするために以下の調査を実施した。対象は平成16年4月に採用された1年目看護師28名であり、採用後6ヵ月目と採用12ヵ月後(2年目)にそれぞれ1回つつ面接調査を実施した。面接内容は、(1)現在の転倒発生や転倒リスクマネジメント能力に対する考えや思い、(2)現在実施している転倒防止活動、(3)転倒に関する体験の内容とその意味、(4)変化した転倒リスクマネジメント能力とその変化に影響した体験内容、である。結果として、新人看護師が採用後1年間でリスク感性と防止策の実践能力を形成してていくプロセスには、(1)転倒のヒヤリハット体験から自己アセスメントを重ねながら新人看護師が目標としている転倒リスクマネジメント能力に近づこうとしていること、(2)転倒リスクの把握・分析の基準は「像」という表現で表され、臨床経験から蓄積された知識であること、(3)個人レベルから他の職員と協働して転倒防止活動を実践するための能力の自覚とその発展、(4)1年間の転倒リスクマネジメント能力の変化を新人看護師自身の内面的と他者との関わりによって形成されたことを自覚することが明らかになった。新人看護師は自己の体験を内省しっつ、転倒リスクマネジメント能力を自己アセスメントしながら臨床経験を積み重ねていることが示唆された。今後は、この結果に基づき、新人看護師への教育的介入方法について検討していく予定である。
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