研究概要 |
看護師の転倒リスクマネジメント能力形成を2つの調査から明らかにし、この結果をもとに転倒リスクマネジメント育成プログラムを開発した。 1.新人看護師の転倒防止に対する認識とその認識を変化させる臨床経験 転倒防止に対する認識とその認識を変化させた経験の内容を検討するために、1年の臨床経験を有する看護師19名を対象に,半構成的面接法を行い以下の結果を得た.就職後1年間において,転倒は仕方がない現象であり重大なことではないという認識は,リスクの存在に関心を持ち,防止策を実施する責任の自覚に変化した.この変化は自己の転倒防止行動に対する省察や先輩看護師との関わりが関係していた. 2.新人看護師の転倒リスクマネジメント能力形成の構造とその変化 本研究は新人看護師の転倒防止に対するリスクマネジメント能力形成の構造と変化を明らかにすることであり、就職後6ヵ月と12ヵ月の2時点から検討した。データ収集は半構成的面接法により、2時点毎に28名の新人看護師に1回ずつ実施し、以下の結果を得た。新人看護師の転倒リスクマネジメント能力形成は、転倒発生の重大性の認識、能力の自己評価、転倒防止に求められる態度、転倒予測の方法と防止行動の4要素が経験学習モデルのサイクルをたどり、2時点で導き出されたそれぞれ4つのカテゴリから構造化した。 以上の結果から、新人看護師が自覚する課題、経験学習モデルを適用した4段階の介入、看護師によるモデリングの3要素からなる育成プログラムを開発した。
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