研究概要 |
本研究はWork Ability Model(労働能力維持モデル)を用いて看護職者の労働能力を把握し,その低さの要因と考えられるゆとりのなさを介入ターゲットとし,看護管理及び教育の視点から改善方略を考案・実施・評価することで,看護職者の労働能力を維持・改善するために有効な方法を開発することを目的としている.本研究では働きやすい職場づくりを理念としてめざすA大学病院看護部をフィールドとし,研究者と看護部長,副部長,師長,及び副師長の有志からなる会を設け,1〜2ヶ月に1回の割合で開催し,研究的介入の方向性と方法を具体的に検討している. 平成16年度はA病院看護部の理念達成におけるゆとりの重要性を確認し,これに対する看護スタッフの認識を把握することから開始した.これによりゆとりを考える余裕すらない現状が明らかになった一方で,客観的にはゆとりを産み出していると評価できる活動が行われていることが示唆された.このため病棟ごとに独自の方法で,ゆとりを産み出す活動を自覚し可能な場合にはさらに産み出していく試みを行い,活動目標と評価指標の明確化をはかった.また教育的介入としては,9月に組織における理念の重要性を理解する研修を行い,この視点から看護部理念と実践とを振り返り,ゆとりの意義を討論した. 10月にはWork Abilityに関する国際学会(イタリア)に参加し,Work Ability Index(労働能力指標)開発者(フィンランド国立産業衛生研究所)との検討を行うと同時に,欧州の看護職者を対象とした労働能力維持活動の情報を収集した. 17年3月には,これまでの活動整理と,看護スタッフの異動が行われる中で今後の病棟活動をどう進めていけるかの確認,及び病棟を超えた管理的介入の必要性の検討を行っている.
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