本研究は、保護者として必要な、子どもの急病時に役立つフィジカルアセスメント能力育成のための教育内容・方法を明らかにし、その効果を実証することを目的としている。平成18年度は、平成17年度に作成した教材「お母さん・お父さんはいちばん身近なお医者さん」を幼稚園児の保護者に配布し、効果を測定した。 対象はY市内にある幼稚園の保護者518名である。そのうち282名は実験群(事前調査時に教材配布)、236名はコントロール群(事後調査配布時に教材配布)とした。調査法は選択式質問紙で教材配布前と2ヶ月後に実施した。この質問紙は保護者の属性(年齢・性別・子どもの数、子どもとの続柄、職業の有無、医療関係の資格の有無、祖父母との同居、受診判断・子どもの観察の自己評価)、子どもの年齢・性別、子どもの健康状態、最近2ヶ月間の急病の有無、その時の症状、受診判断の際に利用した本・インターネット、受診判断の際の相談相手、観察の視点、受診判断時の不安の有無、受診の有無、受診医療機関の種類、受診時間帯、受診時の満足度、急病時に利用可能な公共サービスの認知度と利用に関する質問で構成されている。 教材「お母さん・お父さんはいちばん身近なお医者さん」は子ども(6歳まで)の急病時の受診判断の目安について解説したパンフレットである。大きさは携帯しやすさと親しみやすさを考慮し、カラーイラスト入りA6版(全18ページ)とし、小児科医の監修を受け作成した。 事前調査の回収率は、実験群134枚、コントロール群106枚で、回収率はそれぞれ47.5%と44.9%であった。両群で各質問項目の回答を比較したところ、両群間に有意差はなく、同一条件の群であると考えられる。現在、事後調査において、両群で回答の比較をし、有意差が生じた項目について明らかにし、パンフレット配布の効果について検証しているところである。
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