研究概要 |
本年は、昨年度実施したフォーカスグループインタビュー、個別インタビュー等の結果を踏まえ、K県内の求人施設を対象にそれら求人施設の雇用の実態、50歳以上の看護職員のセカンドキャリア就労支援に関する調査を実施,した。 年齢別に雇用者数をみていくと、看護師・准看護師は20歳代をピークに30歳代以降、急激に減少しており、離職した後多くの看護職は、職場復帰せずに潜在化している現状が認められた。20〜59歳までは常勤の割合が高いが(82.7%)、60歳以降はパート・アルバイトなどの非常勤の割合が高くなっている(64%)。派遣形態はどの年齢でも1%以下で、派遣労働は雇用の多様化に貢献しているとはいえない現状が認められた。 近年、高齢者雇用安定法が改正され、政府は段階的な定年延長、定年廃止、再雇用を打ち出しているが、定年延長を打ち出している施設は23.7%にとどまっている。50歳以上の看護職員を採用する予定はない(11.3%)の理由としては、加齢により業務に支障をきたす恐れを挙げている。子育て期にある看護職や50歳代以上の看護職にとって、雇用形態が固定化された現状は就労機会を狭くしている可能性が示唆された。 以上の結果から、意欲と能力がある限り、働き続けることができる社会システムが構築することが重要であり、離職した看護職のセカンドキャリア開発を支援すること、仕事と生活の両立を目的にワークライフバランスに配慮したシステムを整備すること、仕事が継続できるような多様な働き方を検討することが、看護職の就労継続、バランスのよい看護職員の配置にとって必要と考える。
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