看護職の人材を確保するためには雇用形態の多様化が促進される必要がある。まず、諸外国がどのような多様化政策を行っているのかを調査した。英国、アメリカでは、すでに外国人看護師を導入し、大学病院や公的機関が求人、受け入れを行っていた。外国人看護師がリクルート担当者として、現地で求人活動を行うケースも見られた。外国人看護師の受け入れは年々増加しており、一度導入すると、半永久的に依存せざるを得なくなることが明らかになった。外国人看護師導入によって人材不足が解消しているとは言えない。さらに国内看護師の雇用も多様化しており、派遣・パート・アルバイトなど様々な形態を受け入れ、日本のような規制はほどんどみられず柔軟に人材確保に力を入れている。 日本では、紹介予定派遣が認められたものの、一般派遣は認められていない。また、看護管理者に行った調査では、外国人看護師の導入には肯定的であった。しかし、自分が管理する病院では、外国人労働者の導入は時期早尚とみている。このように日本が膠着的な雇用管理体制であることは診療報酬制度で規制されているところに1つの原因があると思われた。 平成18年度の診療報酬の改定によって、これまで交代制勤務、長時間労働が当然であった病院の勤務に弾力化が図られ、短時間労働が導入しやすい環境整備が図られた。しかし、こうした環境整備も首都圏の精神科単科病院の調査では、診療報酬が改訂されても人材が確保できておらず、人材の質を選べる状況にはなっていない。 これまで、一般の労働研究ではファミリーフレンドリー施策が議論されてきているが、看護労働ではほとんど議論されてきていない。少子高齢化の中で、持続的に人材を確保するためには、雇用の多様化を推進し、仕事と家庭の両立=ワーク・ライフ・バランスに配慮した働き方を定着させることが必要であるとの示唆を得た。
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