平成16年度(1年目)は、当初の計画にあわせ、まず文献検討を行った。看護技術、看護事故、医療事故、安全をキーワードに文献検索を行った結果、55文献(和文献のみ)を抽出し、研究者で作成した文献レビューにそって検討した。その結果、文献の背景として実際の医療現場での事故をとらえたもの、基礎看護教育の現場における取り組み、看護管理の立場からのもの等さまざまが含まれていた。多くとりあげられていた事故としては与薬関係が最も多かった。また医療事故の原因としては、「知識不足」、「経験不足」「看護師の疲労」が多くあげられており、すでにいわれているとおり、基礎教育でいかに「事故防止」「安全」についての重要性を教育するかということ、そしてその方法として単なる講義形式ではなく、より体験を深めるような、シミュレーションやグループワーク等の方法を紹介するものが多かった。ただし、実際の事故事例をもとに、具体的な看護技術に関しての教育方法やフィジカルアセスメントの視点を含んだものはみあたらなかった。 さらに、現時点での学生の与薬に関するフィジカルアセスメント能力を評価するためにインタビューを行った。倫理的配慮のもとに研究協力を依頼し、19名の学生のインタビューを行った結果、与薬の事故防止のために5Rの確認が必要であることは100%の学生が認識していたが、安全な与薬を行うための与薬前の対象患者のフィジカルアセスメントの必要性に関しては30〜40%のみ、与薬後のフィジカルアセスメントに関しても30%程度の学生しかあげていなかった。この結果をふまえて、安全な与薬のためのフィジカルアセスメントを強化する視点を加えた教材の作成を行い、次年度の与薬の授業時にこれを用いて実際に教育を行い、その評価を行う予定である。
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