研究概要 |
本研究の目標は,米国メリーランド大学図書館(Gordon W.Prange Collection;以下プランゲ文庫)に所蔵されている占領期の1945年から1949年にかけて日本で出版された刊行物のすべてとその検閲結果を分析し,GHQ/SCAP Recordsの公衆衛生福祉局の文書(PH&WRecords)には表わされていない医療および看護に関わるGHQの方針と実態,および出版物の発行状況を明らかにすることである.本年度は,全研究期間4年の最終年度にあたり,以下のことを行った.ロプランゲ文庫現地調査において,図書の出版に関するGHQの記録である"Book Lists""Pamphlet Lists"と作成したデータベースを照合した."Book Lists""Pamphlet Lists"は計77冊あり,50%を照合することができた。ロプランゲ文庫で収集した史料をデータベース化し,国内所蔵の雑誌と照合した. メリーランド大学のプランゲ文庫の現地調査及び国内での調査により,□GHQ公衆衛生福祉局(PH&W)は,看護系雑誌の発行においてGHQ民間検閲支隊(CCD)とは異なる独自の検閲を行っていたこと,□日本側には史料が残されていない看護系雑誌の発行の実態,□現存するプランゲ文庫図書と"Book Lists""Pamphlet Lists"が整合していない可能性があることが明らかになった. なお,調査結果は,日本医史学学会,日本看護科学学会で発表した.
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