研究概要 |
研究は、3つの構成で実施した。 1.結核感染症患者の、3ヶ月間の隔離入院による身体・心理・社会的側面のレトロスペクティブな調査研究。 2.感染防御具着用による身体・心理・社会的側面への影響を調査した実験研究。 3.感染予防の教育介入によるリスク認知の調査。 結果 1.長期隔離の心理・社会的な影響は、入院1週間・3ヶ月後よりも、入院1ヶ月後に最も強いかった。身体的な回復に伴い、心理・社会的側面も回復した。しかし、協同生活における電話や入浴などの局面では、入院3ヶ月後でも心理的規制が継続していた。さらに、こうした体験は、すべての感染症のリスク認知に影響していた。これらの分析より、支援介入の時期、介入の方向性、感染症教育の有効性についての示唆を得た。 2.感染防護具を着用した看護師による清拭では、深部温・表面温が上昇、心拍数が低下しリラクセーション効果を認めた。しかし心理的には、白衣の看護師による清拭の方が好ましいと感じていた。 3.集団の医療従事者が感染防護具を着用した場合、不適切なパーソナルスペースの拡大を認めた。病気とは関係のない「博愛的な」誘導が、患者の不安を低減する可能性が示唆された。有効な情報提供の内容や時期は、今後の課題である。 4.医療関係者,聴覚言語障がい者,市民への感染予防の普及活動におけるリスク認知得点の分析から、教育支援による感染症集団発生の事前リスクコントロールの可能性が示唆された。そのためには、継続できるようなサポーター育成のシステムの確立が必要であり、今後の課題である。
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