本研究は外来がん化学療法が患者家族に及ぼす影響と対処過程を明らかにし、それに基づき、外来がん化学療法を受ける患者家族の対処を支援する看護介入モデルを検討することを目的としている。本年度は、神戸大学病院の外来でがん化学療法を継続的に受ける患者とその家族を対象に、1.外来がん化学療法が患者家族に及ぼす影響と対処過程および看護ニードとケアの現実・期待に関する面接調査及び参加観察 2.心理的ストレス尺度、ソーシャルサポート尺度、QOL評価表等を用いた質問紙調査を計画していた。しかし、大学病院の平成16年度内の外来化学療法室の開設と運用開始という環境の変化の影響を勘案し、外来における研究計画の実施を延期した。本年度は、事前準備として、外来化学療法室開設後に外来化学療法の開始を予定している婦人科、泌尿器科の病棟に入院している患者で、がん化学療法(プラチナ系製剤による)を3回以上受けた女性患者5名(38〜65歳)、男性患者5名(31〜65歳)を対象に、1.がん化学療法が患者の食事に及ぼす影響と対処過程および看護ニードとケアの現実・期待に関する面接調査、を行った。 その結果、以下の点が明らかとなった。1.制吐剤の効果は明らかであるが、なお消化器症状の食事への影響は大きい。2.患者は食事を「生きる上で重要」ととらえ食事摂取の努力・工夫をしている。3.食事に関する対処過程には段階があり前の経験や情報が次の対処に活かされている。4.女性が男性より食事への対処に積極的である。5.差し入れなど家族の支援を得られているが支援内容は男女間に違いがある。6.適切な化学療法食に関する要望が強く存在する。以上から、がん化学療法を受ける患者家族の食事に関する対処を支援する看護の必要性が示唆され、外来化学療法を受ける患者家族の食事に関する対処過程を明らかにするための基礎資料を得ることができた。
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